使いやすさと高寿命を両立

SLD-MAGIC(略称:S-MAGIC)は金属成分の的確な添加による合金設計を行うことで、金型の基本特性である耐摩耗性や表面処理性を改善すると同時に、熱処理時の変寸・変形を抑え、被削性を改善した新しい冷間ダイス鋼です。 金型材に要求されるあらゆる特性を高次元にてバランスさせることで、金型寿命の向上と金型製造時のコストダウンが同時に期待できます。

S-MAGICは耐摩耗性に優れたSLDと被削性に優れたSKD11改良鋼等の特長を合わせ持ち熱処理時の変寸・変形を低減させた新しい高性能冷間ダイス鋼です。
熱処理特性 熱処理時の寸法ばらつきを少なくし寸法変化量を約40%低減(当社比
⇒材料取りの影響が少なく熱処理や表面処理手直し工数を低減
 
被削性 被削性が約35%向上(当社比、切削工具摩耗量評価)
⇒加工能率向上により、金型加工時間を短縮
⇒加工工具の寿命が向上し、治工具などの直接購入費を低減
 
耐摩耗性 最高硬さ62HRCで耐摩耗性を約35%向上(当社比
⇒大幅な金型寿命向上を実現
 
表面処理性 表面処理(CVD法など)の密着性が約30%向上(当社比
⇒ハイテン材の曲げ・絞り時などのかじりを防止
 
当社比:SKD11改良鋼である8%Cr鋼(当社商品名:SLD8)との比較
 
日立金属工具鋼は、お客様のご要求特性に合わせS-MAGICの優れた特性を100%引出す熱処理が可能です。
>>群馬熱処理工場の詳細はこちらをご覧下さい。
  
カタログ
  YSS高性能新冷間ダイス鋼 SLD-MAGICカタログ
[PDF:776KB]
 
 
熱処理特性
標準熱処理条件
S-MAGICはSKD11と同一熱処理が可能です。
焼なまし硬さ 焼入れ 焼戻し 硬さ(HRC)
255HB以下 1010〜1040℃
空冷
480〜530℃空冷
または
150〜250℃空冷
58以上

   ■焼入焼き戻し曲線    ■熱処理寸変

焼戻し条件別特性変化
目的 焼戻し温度
(℃)×2回
硬さ(HRC) 変寸(%) 経年変化 靭性
冷間ダイス鋼標準
低温焼戻し条件
150〜250 59〜61 0〜+0.04
経年変化重視
マイナス変寸調整
400〜480 59〜61 -0.05〜0
硬さ重視
変寸"0"調整
480〜500 60〜62 -0.04〜
+0.04
硬さ重視
変寸プラス調整
500〜520 60〜62 0〜+0.08 △(注)
8%Cr鋼標準
高温焼戻し条件
520〜530 58〜61 +0.04〜
+0.08

(注)他のダイス鋼と同様に、高温焼戻しでは経年変化を生じ易い傾向がありますが、
   300〜400℃焼戻しの安定化処理で経年変化量の低減が可能です。

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被削性
正面フライス評価結果
正面フライスに切削チップを1個取り付け、切削テストを実施。
  1切削テスト要領
   ・加工材 MF60X90X200L
   ・切削条件 正面フライスカッターに切削チップ1ケ取り付け
  2切削条件
センターカット
乾式切削エアーブロー
正面フライスカッター型式 TGD4405R−φ125(東芝タンガロイ製)
切削チップ材種  F7030・・・三菱製
切削チップ型式  SDKN42AEN
切削速度  120m/min(回転305min-1)
送り速度   0.13mm/刃(39.6mm/min)
切込み    2ZX90W
パス回数  200Lを20パス
S-MAGICのフライス時の工具摩耗量は
SKD11対比半減し優れた被削性を示します。

S-MAGICの切り屑状況 10Cr快削鋼切り屑状況
S-MAGICの切り屑は黄金色で、切削温度が低めであることを示しています。
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耐摩耗性
カジリ試験結果
カジリテスト試験方法
速度 40spm
しわ抑え力 2.2ton
ストローク長さ 60mm
潤滑条件 ダイヤモンドPA920 塗布後布でふき取り
被加工材 590MPaハイテン,t1.6 (Znメッキなし)
金型表面粗さ #1000磨き(Ra=0.04μm)
試験条件の模式図結果

成形品の外観写真 成形テスト後の側面外観写真(2ショット目)
  SKD11(カジリ率:45%)   S-MAGIC(カジリ率:0%)
  SKD11カジリ発生条件でS-MAGICはカジリ発生が無く、良好な耐カジリ性を示します。
カジリ率計測ライン   (カジリ率%=カジリ部長さ/板幅) ※両面で計測
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表面処理
3回CVD(TiC)処理後の被膜密着性評価
冷間ダイス鋼は繰り返し表面処理によって処理皮膜の密着性が低下しますが、
S-MAGICは他鋼種に比べ密着性が良好です。

3回CVD(TiC)処理後の表面硬さ分布
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S-MAGIC焼戻し条件と特性
お客様のご要望の寸法狙いや特性に合わせ最適熱処理が可能です。

S-MAGICの代表的パターン
目的 焼戻し温度(℃) 硬さ(HRC) 狙い変寸(%) 靭性
靭性重視 180 59-60 -0.005
マイナス側 475 59-60 -0.02
0〜マイナス側 490 60-61 -0.01
0〜プラス側 500 61-62 +0.01
PVD処理対応 520 59-60 +0.07

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S-MAGIC高精度熱処理実型テスト結果
L方向 SKD11、S-MAGICの
同一金型形状品で比較テスト実施
  W方向  

鋼種 方向 元寸法(mm) 変寸量(mm) 変寸率(%) 変寸率差(%)
SKD11 295 -0.090 -0.031 0.083
250 +0.130 +0.052
S-MAGIC 295 +0.030 +0.010 0.018
250 0.070 +0.028

490℃焼戻し時の変寸ばらつき比較
    同一形状品5ロットでの変寸ばらつき比較(N=70)
●標準偏差半減  ●変寸率0.05%以下
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