工具鋼 炭素工具鋼 合金工具鋼 冷間金型用合金工具鋼
熱間金型用合金工具鋼 高速度工具鋼 プラスチック金型用鋼 マトリックスハイス
粉末高速度工具鋼 8%Cr系冷間ダイス鋼 快削冷間ダイス鋼 高性能冷間ダイス鋼
フレームハード鋼 高性能SKD61 化学成分の影響  
JISには、金属または非金属の切削、塑性加工用などの各種ジグ・工具として用いられる鋼として工具鋼が規定され、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼に区分されています。なお、工具鋼製造メーカーはJIS対応鋼種だけでなく、皆様方からの種々の要望に対応するため、ブランド鋼(各メーカーが開発したJIS規格外の工具鋼)も製造しています。
↑このページのトップへ

0.55〜1.5%の炭素を含有し、特別に合金元素を添加しない工具鋼です。JISには、SK60〜140が規定されていますが、焼入性が悪いので、芯部まで硬さが入りません。また、水焼入れが必要なため、熱処理時の変形が大きく、金型に用いられることは余りありません。少量のMnやCrなどを添加してこれを改善したのが合金工具鋼のSKS93(日立金属(株)対応鋼種:YCS3)やSKS3(日立金属(株)対応鋼種:SGT)です。
↑このページのトップへ

炭素鋼にMn、Ni、Cr、Mo、W、Vなどの合金元素を1種以上添加した工具鋼です。JISでは切削工具用、耐衝撃工具用、冷間金型用、熱間金型用に主用途で区分されています。合金工具鋼のなかでCr、MoやVなどの合金含有量が高く、さらに必要に応じてW、NiやCoを添加させたものがSKD鋼です。
↑このページのトップへ

SKSが5鋼種、SKDが5鋼種からなります。その内、11〜13%のCrを添加し、硬いCr系炭化物を多量に晶出させ、耐摩耗性を良くしたSKD11(日立金属(株)対応鋼種:SLD)が最も標準的です。SKD11より焼入性・耐摩耗性などに劣りますが、安価なSKS3(日立金属(株)対応鋼種:SGT)・SKS93(日立金属(株)対応鋼種:YCS3)も広く使用されており、これら3鋼種のことを冷間3鋼種と呼びます。
ご参考資料:冷間加工用工具鋼カタログ [PDF:788KB]
↑このページのトップへ

高温強さと靭性の兼備が必要なため、炭素含有量を0.32〜0.42%と低くし、MoとVを1%前後添加して高温強さを高めた5Cr系のSKD61(日立金属(株)対応鋼種:DAC)が基本です。SKD7(日立金属(株)対応鋼種:YEM)は、SKD61に対しCrを下げ、Moを上げた材質であり、高温強度が高い材料です。SKD8(日立金属(株)対応鋼種:MDC)は熱間ダイス鋼の中で最も高温強度が高いですが、靭性が低いのが難点です。SKT4(日立金属(株)対応鋼種:DM)は、他の熱間工具鋼に比べ低合金であり、高い靭性を有していますが、高温強度は熱間工具鋼の中では低い材料です。
ご参考資料:熱間加工用工具鋼カタログ [PDF:720KB]
↑このページのトップへ

高炭素鋼にCr、Mo、W、V、Coなどの合金元素を比較的多量に添加し、切削工具及び金型などに用いられる工具鋼です。高速度工具鋼は元々切削工具用に開発された材料ですが、耐摩耗性と靭性を兼備した特徴を活かして金型にも使われるようになってきました。4Cr-5Mo-6W-2VのSKH51(日立金属(株)対応鋼種:YXM1)がその代表鋼で、これに5%のCoを加えて耐熱性を増したSKH55(日立金属(株)対応鋼種:YXM4)、V含有量を高くし、硬いV系炭化物を増やし、かつ10%Coとして高耐摩・耐熱性を増したSKH57(日立金属(株)対応鋼種:XVC5)などがあります。粉末高速度工具鋼は、粉末冶金工程により炭化物を多量かつ微細・均一に分散させた材料ですが、‘00年にはSKH40がJISに追加されています。
ご参考資料:高速度工具鋼カタログ [PDF:1.4MB]
↑このページのトップへ

プラスチック成形用金型は、鏡面性・被加工性・耐食性など、製品や樹脂に対応する特性が要求されます。そのため、工具鋼メーカーは、JISに規定されていないプラスチック金型専用の鋼種をラインアップしています。日立金属(株)の場合、HPMシリーズ及びCENA1などが対応します。
↑このページのトップへ

高速度工具鋼の炭化物量を低減し、製造方法を配慮して、その分布を改善した材料です。高速度工具鋼や冷間ダイス鋼より靭性が優れ、割れ易い用途に用いられます。代表例としては、冷間鍛造金型に広く用いられるYXR3やYXR7、温熱間鍛造金型に使用されるYXR33があります。
ご参考資料:温熱間鍛造型用鋼 YXR33カタログ [PDF:204KB]
↑このページのトップへ

粉末製法で製造される高速度工具鋼です。炭化物が微細・均一であり、高靭性と高強度・高耐摩耗性を兼備しています。日立金属(株)ではHAPシリーズとして、JIS-SKH40対応鋼種のHAP40、高靭性タイプのHAP10、工具鋼として最高の強度・耐摩耗性を有するHAP72などをラインアップしています。
ご参考資料:粉末高速度工具鋼 高性能粉末ハイスHAPカタログ [PDF:444KB]
↑このページのトップへ

SKD11に対し、C・Cr量を約2/3とし、Moを約2倍とした成分系であり、日立金属(株)製SLD8などがあります。炭化物が少ないので、靭性・被切削性は向上しますが、耐摩耗性は低下します。Mo増加は500℃以上の高温焼戻しでの炭化物析出を増やし、SKD11の高温焼戻し硬さ58〜60HRCを、約62HRCまで上げることが出来ます。しかし、残留オーステナイトが増えるため経年変寸が発生し易く、精密金型の場合には特別な熱処理方法が必要となります。
ご参考資料:高硬度高靭性冷間ダイス鋼 SLD8 カタログ [PDF:316KB]
↑このページのトップへ

SKD11に対しC・Cr量を下げ、硫黄を添加して被加工性を改善した材料であり、代表例としては日立金属(株)製ARK1があります。板金プレス型など加工コスト低減を重視する用途に適用が広がっています。
ご参考資料:新冷間ダイス鋼 ARK1カタログ [PDF:1.1MB]
↑このページのトップへ

8%Cr系冷間工具鋼や快削冷間工具鋼は、板金プレスでのハイテン材などに対して耐摩耗性不足となったり、熱処理変寸が大きかったりする問題がありました。このような問題に対応し、被加工性に配慮しつつ、8%Cr系冷間工具鋼・快削冷間ダイス鋼に対して耐摩耗性・熱処理特性・表面処理性を改善した、新しい冷間ダイス鋼SLD-MAGIC(略称S-MAGIC)が、日立金属(株)により開発されています。
↑このページのトップへ

バーナー加熱により、部分焼入れする作業をフレームハード(火炎焼入れ)と言いますが、この作業に対する硬さ変動が小さくなるよう開発された材料がフレームハード鋼であり、代表例として日立金属(株)製HMD1、HMD5があります。
ご参考資料:冷間プレス金型用YSS火炎焼入鋼 (フレームハード材)カタログ [PDF:216KB]
↑このページのトップへ

化学成分・製造工程の改善により、SKD61の靭性・焼入性・高温強度などを改善した5%Cr系熱間工具鋼です。日立金属(株)製では、DAC55・DAC3・DAC10が対応します。
↑このページのトップへ

工具鋼の化学成分で、最も特性を変化させる元素はC(炭素)です。高いと焼入焼戻し硬さ、耐摩耗性が向上しますが、靭性は低下します。冷間で使用される型材は、一般的に60HRC程度以上の硬さが必要であり、約0.6%以上の炭素を含みます。熱間で使用される型材は、加熱・冷却の熱サイクルを受けるため、強度よりも靭性が重視されるので、約0.5%以下の低C材が使用されます。CrやMnは焼入性を改善します。これら元素が多く含まれている型材は空冷焼入れ可能なものが多いですが、ほとんど含まれない場合は、水冷・油冷などの急冷焼入れを行わないと硬さが得られません。W、Moは高温強度・軟化抵抗を向上させるため、高強度熱間ダイス鋼・高速度工具鋼では、その含有量が多くなります。高V材は硬質のV系炭化物が多量に存在するため耐摩耗性重視材と言えます。
↑このページのトップへ